田渕美術工房

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画文集 龍ののぼる姿を見よ -イタリア美術紀行-

"生命の世紀"目指して

深さと広がりをもって時間が画面の上に表現されてくる。
動く絵が我々の時代に現れれば我々の願う
第三のルネサンスの到来である。------田渕隆三

いのちの花芽

イタリア・ルネサンスは幾多の労苦の屍累々の作品群の中に確かな花芽を
付けて我々の時代に繋いでいただいている。山の声があり、水の声があり、
龍(雲)の声がある。モンテローザを眺めていると眼の前に動き出した。

序 龍の声

田渕 隆三

2006年5月の終わり、イタリアへの旅をした。

レオナルドが登ったと言われるモンテローザへの旅である。モンブランがアルプスの主峰として"白雪の聖なる山"であるのに対して、モンテローザはバラ(ローズ)の山としてアルプス第二の高さを誇っている。

赤白のアルプスに惹かれて私もやってきた。

コルティナ・ダンペッツォと共に、『モナ・リザ』や『聖アンナと聖母子』の背景をしのばす地形であった。

山の渓流に木の橋がかかっていて、厳しい谷あいに風情を添えている。

限られた時間(四泊五日)の制作はかたときも油断できない。一筆一筆、自然の姿を写し取っていく以外にない。移り変わる自然は、一瞬の出来事として過ぎ去っていく。山の麓のマクニャーガは、標高一四〇〇メートルで、思いのほか寒い。防寒の冬着を着ていても寒さが身にしみてくる。悪いことに断続的に雨が降っている。

霧に隠された谷合の渓流から仕事を始めた。ホワイトアウトして十メートル先も見えなくなる。雨の中の仕事は合羽を着けて続けた。

四日目の朝、待ちに待った青空が見えてきた。絵も人生と同じで最後の幸運を得て始めて完成する。最後で絵の表情は決定する。朝の光の中に頂上が見えてきた。ファンファーレが鳴り渡るように、光が山に入ってくる。雲(龍)が動いて、山の全貌が見えてくる。自然の霊感に打たれる思いであった。

 

"山高ければ谷深し"

色々のことがあった。困難を生き抜けば喜びとなる。苦難の道も最大の喜びとなる。運命より生命の力のほうが強い。ただ眼前に展開する自然のさま(在り様)を見よ、であった。

 

龍ののぼる姿を見よ

山高ければ谷深し

山の声、水の声、龍の声

天地の響がこだまする

 

深さと広がりをもって時間が画面の上に表現されてくる。動く絵が我々の時代に現れれば、我々の願う第三のルネサンスの到来である。

イタリア・ルネサンスは、幾多の労苦の屍累々の作品群の中から確かな花芽を付けて、東からの解答としての生命の時代に繋いでいただいている。

山の声があり水の声があり龍(雲)の声がある。モンテローザを眺めていると眼の前で動きだした。

 

イタリア・ルネサンスを学ぶ研究ノートの一端として、この度、『画文集 新・イタリア紀行』を上梓するものである。同行していただいた竹内昌之氏、甲斐展子氏、また編集の労をとっていただいた川北茂氏、出版の山本弘人氏に感謝をいたします。

2006年11月3日

書籍のご購入について

詳細は田渕美術工房へお問い合わせください。
画文集 龍ののぼる姿を見よ -イタリア美術紀行-   田渕 隆三 著
リサージュ出版   定価2,500円(税込)
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